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会長会見 (2008年6月17日)


T.「鋼材需給及び価格交渉の動向」について
<鋼材需給>
日本造船工業会の会員会社を対象としたアンケートによれば、現在、2週間程度の納入遅延が発生している造船所があり、鋼材の大幅な納入遅延、供給不足の事態が起これば、造船所は新造船の納期が守れなくなり、由々しき問題となる。

日本造船工業会としては、引続き鋼材の需給動向を注視し、鉄鋼連盟に対し、安定供給を強くお願いしていく所存である。

<価格交渉>
現在、造船各社は鉄鋼各社からの値上げ要請に対し、価格交渉を行っている。

造船業は、契約時に船価を決めることが国際的な商習慣となっており、既に受注した契約代価には、今回提示されたような大幅な鋼材価格の値上げを見込んでいない。

契約代価の変更が出来ない造船業としては、今次造船用鋼材の急激かつ大幅な値上げを受入れることは、困難な状況にある。


U.会長在任この一年を振り返り、今後の抱負について
<就任時の環境>
会長に就任した頃の状況は、海上荷動量が堅調に推移しており、海運市況が好況を持続するとの見通しから、海運業界の発注意欲は衰えることなく、すこぶる旺盛で、昨年の世界の新造船受注量は一昨年の一億総トンを遥かに超える1億6千万総トンと、これまでの造船の歴史にない驚くべき数字まで積みあがった。日本造船業界も、2千万総トンの受注を得て、海運業界の期待に応えるべく高品質の船舶の建造に努めた。また、採算面においても、これまでの厳しい状況からようやく脱却し、利益が見込める状況となり、造船各社は人材確保や設備投資等、事業を積極的に展開し始めた時期であった。

<環境変化>
海運市況が進展をとげる半面、造船業にとって大変難しい環境変化がこの1年の間に顕在化した。それは、

第一に、堅調に推移する海運市況を、好機として捉えた韓国・中国において相当数の新規造船所が計画・着工され、新規参入造船所が早期に受注の獲得を行ったため、世界の新造船受注量が未曾有なものとなり、将来における新造船供給能力過剰という問題が懸念され始めたこと。

第二に、世界的な工事量の増大により、造船用鋼材、舶用機器などの資機材供給に遅れが生じ始めたこと、それに加えて、鉄鉱石・原料炭の高騰により、鉄鋼メーカーから造船用鋼材の大幅な値上げ要請があったこと。

第三に、米国のサブプライムローンの破綻により、ドル安(円高)が懸念されること、また、現在のところ大きな影響は見られないが、将来の米国経済の行方が気になること、等である。

<課題への取組み>
「課題への取組み」だが、私は、多くの受注船舶を抱え仕事量が安定した今こそ、日本造船業界は国際競争力の強化に積極的に取組み、持続的成長を確かなものとするため、「性能・品質に重点を置いた国際競争力の強化」を、会長就任時の活動の主要テーマに掲げ、この1年努力してきた。具体的な課題として「経営基盤の強化」、「技術基盤の強化」、「国際協調の推進」と3つのテーマを掲げた。

「経営基盤の強化」については、日本造船業の優秀な技術・技能を維持・発展させるための人材対策を最重点課題とした。具体的には、造船技能を確実に伝承していくため全国各地の技能研修センターの機能強化、製造業の基幹産業である造船のイメージアップを図るため小学生から大学生までの幅広い層を対象としたPR資料の作成、外国人材の活用の検討等、総合的な人材対策の実施である。その他、新規学卒者向けとして、各社の求人活動を円滑に進めるため今年2月に造船業界初の合同就職説明会を開催した。
また、昨年秋口より造船用鋼材の恒常的な供給不足、納入遅れが目立ち始めたので、年初に日本鉄鋼連盟の馬田会長にお会いし、安定供給のお願いをした。その後、本会では鋼材の需要状況などの調査を継続し、鉄鋼連盟との間で事務レベルの情報交換を行っている。

次に「技術基盤の強化」策としては、品質・性能を向上するため、コンテナ船の甲板に用いる極厚板の強度問題、防食性能向上の技術基盤の確立、省エネ・環境負荷低減問題など、船舶性能や品質を差別化する為の技術問題に取組んだ他、IMO(国際海事機関)、IACS(国際船級協会連合)などの共通構造規則、バラストタンク塗装性能基準などの国際基準や国際規則への対応を進めた。

「国際協調の推進」活動としては、昨年10月に日韓欧米中の造船業の首脳が一同に会し、米国サンディゴでJECKU造船首脳会議が開催され、造船需給の問題、資材問題、国際的な構造規則や塗装基準の問題など、参加主要国に共通する課題につき、意見交換が行われた。日本も長年の経験から積極的に意見を述べ国際協調を図った。また、事務レベルでも日韓、日中の造工事務局ベースの情報交換を逐次開催している。

<今後の抱負>
私は、残された会長任期の1年、就任時の目標「経営基盤の強化」、「技術基盤の強化」、「国際協調の推進」の3つの基本課題に向け、半歩でも一歩でも前進出来るよう全力を挙げ取組んでいく覚悟である。

以  上



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