T.「最近の造船マーケット」について
- 日本の2009年のCGT(標準貨物船換算トン数)ベースの輸出船契約実績(受注量)は253万
CGT。これは前年2008年の受注量882万CGTを71%下回る。
- 世界同時不況の影響を受け海運市況が暴落し、船主の発注意欲が急速に衰え、2008年秋以降、新造船の受注は激減したが、2009年も、回復の兆しはなく、近年稀にみる低い水準の受注量となった。また、日本船舶輸出組合から発表された本年1月の輸出船契約実績も20万CGTと依然として低調である。
- しかし、手持ち工事量(受注残)をみると、受注量の減少に伴い、徐徐に減少しているとはいえ、直近の2009年12月末現在の手持工事量は、ほぼ日本の年間竣工量800万CGTの3年程度に当たる2400万CGTの工事量を確保しており、操業については、今年も堅調に推移していくと思われる。ただ、本格的な景気回復の兆しが見えず、このような低い水準の受注が本年下半期以降も続くようだと、何らかの対策を打つ必要もあるかとも考えるが、今のところはじっくり市況を見守っていきたいと思う。
- また、最近、各社の2009年度第3四半期決算が発表され、その中で2009年度の通期見通しが、触れられているが、数年前の船価の高い時期に契約された船舶が、売上に立っていることや、資機材価格も落ちついていることもあり、今年度、来年度とも、それなりの業績となろうかと考えている。
- 世界経済が低迷から回復に転じることが見極めきれない現状では、当面、新規商談は低位で推移することを覚悟しなければならない。造船マーケットは世界単一マーケットであるから、造船事業に携わる各国が、新規受注をめぐって徒に過当競争に陥ることなく、ここ暫くの間、受注活動については冷静に対処することが大事である。過去に幾度か難局を乗り越えてきた経験を持つ日本としては、今年も「JECKU会議」をはじめとし、あらゆる場を通じて、造船所が今後も持続的な経営を維持するための造船所運営に努めるよう、呼びかけていきたいと思っている。
U.外航海運の競争力強化と海洋開発について
- 政局は、昨年9月に、政権交代という大きな変化があった。そして国土交通省では、前原国土交通大臣主導のもと、「成長戦略会議」が立ち上げられ、5つある柱の1つとして「海洋国家日本の復権」が挙げられている。
- 「海洋国家日本の復権」のテーマを議論する中で、「外航海運の競争力強化」を論じるために、「外航海運検討会」が設置され、私は造船業界代表として委員に就任している。
- 日本の外航海運はトータルの経営という意味では、すでに世界一の競争力を誇っていると思っているが、日本の外航海運の競争力を更に強化していくという政策を、日本海事クラスターの一員である我々造船業も大変心強く感じている。
- 今後、一層海運が強くなっていただくために、造船業界は、高品質で環境に対応できる船舶を提供することでこれに貢献していきたいと考えている。
- さらに、海洋国家日本の復権を考える上で欠かすことができない課題の1つとして、海洋開発が挙げられるが、我が国のEEZは、世界第6位の広さを有しており、海事産業関係者はその管理保全と開発利用をすることで、日本を「資源の乏しい国」から「資源の豊富な国」に導き、海洋国家日本の復権と「新たな海洋産業の創生」を図ることができると考えている。
- 明るい話題が少なくなっている昨今だが、外航海運の競争力強化と「新たな海洋産業の創生」に向けて海事クラスターが一丸となって取り組むことで、海洋国家日本の復権を成し遂げ、日本の成長に繋がることを期待している。
以 上
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