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会長会見 (2010年4月23日)


 T.「最近の造船マーケット」について
  1. 日本の2010年第1四半期(2010年1〜3月)のCGT(標準貨物船換算トン数)ベースの輸出船契約実績(受注量)は73万 CGT。これは前年2009年の同期(20091〜3月)の受注量57万CGTを28%上回る。

  2. 2008年秋以降、新造船の受注は激減しており、昨年(2009年)の受注量は年間で253万CGT、月平均で見ても21万CGTと、近年稀にみる低い水準の受注量となった。今年に入っても、1月、2月は20万CGTを超えることのない受注が続いたが、3月は38万CGTの受注を獲得することができた。

  3. 海運市場を見ると、バルカーを中心に回復傾向にあり、3月の造船受注量も、今までより、やや好転したように見受けられるが、これで、景気回復の兆しの現れと安堵するには、未だ早計であると考える。日本造船業は、世界経済の本格的な回復を期待するとともに、今後の資機材価格の動向が見極めきれない現状では、慎重に市況を見守っていく必要があると思う。

  4. 今年も操業については、堅調に推移していくと見込まれ、近々発表される造船各社の2009年度決算は、十分満足するとは言えないが、それなりの業績となろうかと考えている。

  5. これからも、日本造船業は経済動向や市場動向を勘案し、省エネや環境対応技術に秀でた船舶を建造することを第一目標として、冷静な営業判断によって確固たる造船経営基盤の維持に努めるべきであると思っている。

U.鋼材価格の動向について
  1. 鉄鉱石など原料価格の上昇を受け、鉄鋼メーカーはその上昇分を販売価格に転嫁する方針であるように聞いているが、我々造船業界は、現在、厚板が値上げされるような時期ではないと考えている。

  2. むしろ昨今、国内向け厚板の需要が減少する中で、需給環境を考えれば、価格は引き下げられてしかるべきと思う。

  3. その理由だが、どのような製品でも、価格は需給(マーケット)で決められる。厚板の需要が減少しているときに、原料価格が上昇したからと言って、直ちに値段を上げる理由は見当たらない。

  4. 現在、造船マーケットは低迷しており、昨年は新規の商談が殆どない状況だった。ここで、厚板が値上げされ、新造船のコストアップ要因に繋がれば、造船の受注がますます減少し、その結果、造船所の操業が低下し、先行きの厚板需要が大きく落ち込むことになる。

  5. 今後、我が国の鉄鋼と造船が、お互いに安定した仕事量を確保するというウィンウィンの関係を前提に考えれば、現在は価格を上げる時期で無いことは明らかである。

  6. 韓国、中国等に新規の製鉄所が立ち上がり、生産能力が拡大していることから、アジア域内の厚板の供給量は、今後増加するので、鋼材需給関係はますます緩やかになる。鉄鋼メーカーも長期的視野にたって、長年にわたり共存共栄してきた日本造船業という需要家を大切にしていただきたいと望む。

V.「海洋立国への成長基盤の構築に向けた提言」について
  1. 日本経済団体連合会は、今週20日、「海洋立国への成長基盤の構築に向けた提言」を公表した。

  2. 私はこの提言を取りまとめた日本経団連の海洋開発推進委員会の委員長であり、提言の内容には本会の意見も大いに反映されている。

  3. 提言は、政府の海洋基本計画の推進や本年6月に予定されている「新成長戦略」や来年春に予定されている「第4期科学技術基本計画」の策定に向け、産業界の考えを取りまとめたものである。

  4. 提言は、 重要問題の解決に向けた海洋開発利用には、官民の連携強化と海洋産業の振興が不可欠であることに触れ、重要課題への対応については、

    @ 海洋資源などの国家権益の確保
    ・ 排他的経済水域(EEZ)や大陸棚を確保することを目的として離島の保全・管理のための法整備と洋上プラットフォームの構築と活用
    ・ メタンハイドレートや海底熱水鉱床などの資源量の調査
    ・ 自主技術による海底資源探査船の開発とデータ整備
    ・ 海上保安、すなわち海上警備・警察力を維持・強化するための自衛艦艇・巡視船艇の整備

    A 安心・安全の確保
    ・ ソマリア沖やマラッカ・シンガポール海峡で勃発する海賊に対処するための海上護衛活動の強化
    ・ 地球深部探査船「ちきゅう」の活用による地震・津波等自然災害防止のためのネットワークシステムの構築

    B 低炭素社会への貢献
    ・ 洋上風力発電、海流・潮流発電などの再生可能エネルギーの技術開発と実証実験
    ・ CO2の排出が少ないエコシップの開発や導入推進に向けた税制上の支援措置
    を提案している。

  5. そして、政府の海洋政策本部には、海洋基本計画の強力な推進やリーダーシップの発揮を求めており、加えて海事産業に携わる人材育成が重要性をも訴えている。

  6. 提言に対するご理解と、海洋日本の発展にご協力いただけるようお願いする。

以  上



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