T.「最近の造船マーケット」について
- 日本の本年(2010年1〜8月)の輸出船契約実績は、327万CGT(標準貨物船換算トン数)。これは前年同期(2009年1〜8月)の受注量176万CGTを、86%上回る。
- 新造船の受注量は、バルカーを中心とした海運市場の回復を背景に、春先から、近年稀にみる低い水準であった前年(2009年)同期の数字を常に上回る傾向が見られるようになった。操業も今のところ、およそ3年分の手持ち工事量(受注残)を確保しており、堅調な操業が続いている。
- 一方、建造コストの見積もりにあたり、重要な要素である鋼材価格についても造船各社と鋼材メーカーとの交渉が、ほぼまとまったようだと聞いている。夏休みも明け、新造船の商談も出てくる時期だが、冒頭申し上げた円高が障害になるのではないかと心配している。世界経済が順調に回復して、新造船需要も確かなものとなり、安定した操業がこれからも維持できるようになれば良いのだが、回復のスピードも気掛かりである。
- なお、世界的な新造船工事量であるが、ロイドのデータによれば、今年の上半期(2010年1〜6月)に、韓国は535万CGT、中国は524万CGTと、相当な量を受注している。日本の上期の受注は196万CGTと、韓国、中国に比べ、3分の1であり、満足できる数字ではないが、焦らずに船台を埋めていくことが肝要だと思う。日本造船業は、海運のニーズに応えた高品質な船舶を、適正な価格で受注する姿勢を貫いており、今後もその方針は変わることはない。
- また、環境問題に直結する燃費効率の向上を図るために、船型やエンジンの技術開発を一層推進し、現行水準より一歩先んじた環境性能の高い船舶を世界海運に提供して、世界的な地球環境保護の要請にも応えるともに、競争相手との差別化を図っていきたいと思う。
U.「JECKU造船首脳会議」について
- 今回で第19回目となる「JECKU造船首脳会議」だが、今年は10月27日〜29日の3日間、日韓欧米中の5極の造船首脳が一堂に会し、中国の江蘇省・南通市にて開催される。
- 昨年のJECKU時と比べると海運市況には底入れ感が見られ、最悪期から脱却した感があるが、欧米の金融問題をはじめとした世界経済の不透明感が完全には払拭されておらず、二番底の可能性も否定することができない。
- その一方で、新造船の建造能力は相変わらず拡大しており、今年前半の世界の新造船竣工量は既に5,000万総トンレベルと、通年で昨年の建造量を上回る1億総トンに迫る勢いとなっている。
- このような状況下において、各極が需給および世界経済の見通しについてどのような認識を持っているかに注目して、日本は会議に臨みたいと思っている。
V.「23年度税制改正要望」等について
- 本会は、@法人税等の実効税率の提言、A研究開発促進税制の恒久化等の税制改正要望を取りまとめた。
- 加えて、日本造船業の競争力強化のための関連事項として、「日本政策金融公庫法における開発途上国地域限定の融資条件を撤廃すること」及び「急激な円高への対応策を早急に講じること」を要望している。
- また、日本外航海運の益々の競争力強化が日本造船業の競争力強化に重要との観点から、日本船主協会の主張している@トン数標準税制の拡充、A船舶の特別償却制度の充実、B船舶の買換特例の延長及び充実等の税制要望についても当業界から重ねて要望している。
以 上
|