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会長会見 (2011年4月19日)


 T.東日本大震災について
  1. 先月発生した東日本大震災によって被災された皆様には、心からお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復旧・復興をお祈り申し上げます。

  2. 日本造船工業会の会員会社の地震及び津波による被害状況だが、造船事業所の多くが被災地域をはずれた西日本に立地しており、それら造船所では全く被害はありませんでした。東日本の一部の会員造船所では軽微な被害を受けたが、操業に影響を及ぼすような大きな被害は受けておりません。

  3. 他方、福島原子力発電所の地震・津波被害に起因する東京電力管内の電力不足問題や、震災被害による物流停滞及び生産設備の損壊による影響はほとんど出ていません。しかしながら、電力のピークを迎える夏場にあたり、今後、造船用資機材の安定供給あるいは東電管内の造船所での生産に支障が生じるのでは無いかとの危惧は持っております。また、福島原発は依然として制御されておらず、風評被害も含めた影響については今後とも注意深く見守る必要があろうと考えております。

  4. 日本造船業は、既契約船の建造が遅延することのないよう全力を尽くす所存でありますので、マスコミの皆様におかれてもご理解をいただきたくお願い申し上げます。

 U.「最近の造船マーケット」について
  1. 日本の2011年1〜3月の輸出船契約実績(受注量)は、129万CGT(標準貨物船換算トン数)となり、これは前年同期(2010年1〜3月)の受注量73万CGTを、77%上回っております。

  2. 本年1〜3月の第1四半期の数字を見て、年間の見通しを論ずるのは未だ早計かとも考えるが、世界経済は基本的には回復基調にあり、今年の日本の受注量は、極度に円高が進行しない限り、昨年並みの水準を確保できるのでは無いかと思っております。

  3. 震災の日本造船業の受注動向に与える影響だが、一時的には様子見等により、新造船の商談が滞ることがあるかもしれないが、日本造船業は安定操業を続けているし、国際的な海運市場、海上荷動きに大きな変化が無い限り、日本造船業への影響は少ないと思っております。

 V.造船工業会の会長在任の2年間を振り返って
  1. 会長の任期は、6月に予定されている造船工業会の定時総会まで残っているが、今回の記者会見が私にとって最後の会見となりますので、在任期間を振り返り、大きく印象に残ることを3点申し上げます。

  2. 第一点は、この2年間、日本造船業の操業が堅調に推移したことである。2008年のリーマンショック以降、世界経済は停滞し、2009年も回復せず、それに伴って海運市場も低迷し、新造船受注は激減しました。しかし、日本造船業は、キャンセルなどの影響は軽微で、契約の船舶を着実に建造し、堅調な操業を続け、2010年には史上最高の建造量を記録することができました。また業績的にも、採算の良い船舶が売り上げに立ったことから、造船部門の決算もそれなりの数字を計上することができました。

  3. 昨年(2010年)以降、海運市況も底を打ち、回復の兆しが見えつつあり、鋼材価格の上昇や円高は心配だが、造船受注もそこそこの水準で推移しており、当面は、安定した操業が持続できると安堵しております。

  4. 次に、国際的なCO2削減論議を受け、燃費の改善、温室効果ガスの削減を図った、省エネ船の開発気運が高まったことが大きく印象に残っております。日本造船業は省エネ技術や環境保全技術など、これまでに蓄積してきた知見をベースに、高度な研究開発を推進してきましたが、その成果として造船各社からは、独自技術を生かした燃費削減船の商品化あるいは概念設計が多数発表されております。

  5. また、海運業界からも太陽光や燃料電池などを活用した環境に優しい船舶が提案されており、日本造船業としても心強い限りです。今後、新しいコンセプトを持つ船舶の実用化に向かって、海運・造船両業界は、協力して新しい技術開発に取り組んでいきたいと思っております。さらに海運・造船に加えて舶用工業・船級協会を含めた日本の海事クラスターの発展をはかるため、海事クラスター研究会を立上げ、各界の中堅層による討論会を実施しました。さしあたり、「将来ビジョンの共有」ということでスタートしているが、「将来のあるべき姿」をまとめることを目指してほしいと願っております。

  6. 第三点として、多くの尊い人命が失われ、日本経済にとって被害が甚大で、未だ収拾がつかない、今次の大震災の発生も会長在任中の忘れられない大きな出来事でした。日本造船業がこれからの被災地の復興にどのように取り組んでいくのが一番有効であり、お役に立てるのか、モノづくりに携わる製造業の一員として考えて行きたいと考えており、会員各社からアイデアを募集し、現在集計中です。

  7. 今後、厳しい環境におかれても、新興造船国との差別化を図るため、技術重視の日本造船業の基本姿勢は変わることはございません。海事産業に関係する方々のご協力を仰ぎ、英知を集めて経営基盤の維持を図って参ります。そして、世界の船主に満足いただけるよう品質の向上と新商品開発に努め、特に日本が世界で一番進んでいる、省エネ等環境対応船舶の技術開発と実用化に一層注力して参ります。加えて、これまで長年培ってきた造船技術を海洋エネルギー資源の開発を始め、未知の可能性を秘めた海洋開発の分野に活かし、新たな海洋産業の創成に努めていきたいと思っております。



以  上



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