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会長会見 (2011年6月21日)


日本造船工業会会長に就任して
社団法人日本造船工業会
会 長  釡  和 明
かま   かず  あき

 私は本日の通常総会において、日本造船工業会の第33代会長に選任されました。元山前会長におかれましては、米国発の金融危機に端を発した世界同時不況の中、卓越したリーダーシップを発揮されて業界運営に当られ、多くの功績を残されました。
その後を受け、私が、今後2年間、歴史と伝統のある日本造船工業会の会長を務めさせていただきます。
責任の重さを痛感しておりますが、就任にあたり、一言所信を述べさせていただきます。

 最初に、3月に発生しました東日本大震災によって甚大な被害を被りました。被災された方々に対し、この場をお借りして、衷心よりお悔やみ申し上げるとともに、一日も早い復興をお祈り申しあげます。
造船業界といたしましては、被災された方々からのご要請に応え、可能な限りの支援を続けて参る所存であります。

 わが国造船業を取り巻く環境を見ますと、2008年のリーマンショックは世界経済に大きな爪痕を残しましたが、その後、中国をはじめとする新興国の急回復に支えられて、景気回復の兆しが見えはじめておりましたところ、このたびの東日本大震災によって、再び景気の回復基調に暗い影を落としております。
震災による経済への影響は、日本一国に止まらず、世界的な影響も考えなくてはならない状況にあり、今後の景気の推移につきましては注意深く見守っていかなければならないと考えております。 
先ず、わが国造船業を取り巻く現況についてですが、広範囲な世界経済の減速により、海上物流が大きく落ち込み、船腹需給のインバランスが拡大しており、新造船マーケットが極めて低調に推移しております。
これは、2003年から5年間に亘って続いた新造船発注ブームを受け、世界的に造船供給能力が急拡大したことによるものであり、海運好況の陰に隠れて目立たなかったものが、リーマンショックを契機に大きく表面化したものであります。
日本造船業は、過度の新造船発注圧力に対して、設備の拡大に走ることなく、適正設備に腐心しつつ、既存設備を基盤とした生産性向上による増産を指向して参りました。
他方、造船設備の増強に走る、中国・韓国の造船業に対しては、幾度となく過剰供給力に起因する造船市場の崩壊についての警鐘を鳴らして参りましたが、過去にも幾度となく見られた過当競争、低船価、経営不振、雇用問題、政府支援、過剰造船能力の温存といった、負の連鎖による市場秩序の混乱が顕在化してしまいました。
海運マーケットの低迷により、経営不振に陥る海運会社が続出しており、一部造船所においては、造船契約のキャンセルや引き取りの延期などが発生し、倒産に追い込まれたところも出てきております。
政府支援による過剰造船能力の長期温存は、いたずらに構造改善を遅らせるのみならず、造船業の持続的成長に悪影響を及ぼしますので、世界の造船業は市場原理を無視した政府の支援を排除し、造船業の自助努力による過剰能力の解消に努めるべきことが肝要であると考えております。

 幸いにも、日本造船業は2年余りの受注残を保有しておりますので、当面の仕事量には不安はございません。
一方、採算面におきましても、近年急上昇している鋼材価格の高騰が懸念材料ですが、各社の懸命な合理化努力によって大きな落ち込みは回避できるものと思っております。
新規の商談にあっては、鋼材価格の不透明さと円の独歩高と相まって、日本造船業の大きな足かせとなっております。

 ここ数年来積み上げた受注残が次第に減少しつつある現在、国際競争力の低下は新造船受注の減速につながり、早晩、操業計画の見直しに着手せざるを得ない事態にまで及ぶのではないかと危惧しております。

 私も、歴代会長が皆様に申しあげてきた、「技術基盤の強化」、「国際協調の推進」、「経営基盤の強化」の3テーマについては、何れも重要施策として、今後とも踏襲して参る所存であります。

 技術基盤の強化につきましては、わが国の強みである強固な海事クラスターの支援を得て、省エネ船の技術開発を推進し、造船技術における世界のリーダーシップを維持することを目指して参ります。

 国際協調の推進につきましては、毎年開催される5極造船首脳会議を通じて、闊達な意見交換を重ね、健全な競争の中での協調関係を築くことが、世界の造船業が直面する諸問題解決にもつながるものと信じ、更なる国際協調を推進してまいる所存であります。

 経営基盤の強化については、種々経営環境の整備に努めてまいりますが、造船以外の分野への業容拡大の一つとして、海洋分野への進出に尽力して参りたいと考えております。
日本は世界第6位の排他的経済水域を持つ海洋国家であり、海洋は無限の可能性を秘めたフロンティアであります。平成19年に海洋基本法が成立し、海洋立国への指針が示され、目下、海洋基本計画に沿って、諸施策が推進されております。海洋産業の一翼を担う造船業といたしましては、持てる造船技術を駆使して、洋上風力発電・潮流発電・波力発電などの海洋新産業の創生に果敢に挑戦して参りたいと考えております。

以上、所信の一端を述べさせていただきましたが、日本造船工業会会員が一致団結し、この難局に全力を尽くして参りますので、関係各位の一層のご支援・ご指導を賜りますよう、お願い申し上げます。



以  上



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