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会長会見 (2011年9月20日)


 T.「最近の造船マーケット」について
  1. 日本の今年(2011年1〜8月)の輸出船契約実績は、269万CGT(標準貨物船換算トン数)となりました。これは前年同期(2010年1〜8月)の受注量327万CGTと比べると18%の減少です。

  2. 世界経済の減速が懸念される中、海運市況ではバルカー市況に一部回復傾向が見られるものの、依然低迷が続いております。また、為替が歴史的な超円高にあることから、新造船の商談を進めるには厳しい状況が続いています。

  3. 世界の造船マーケットの状況ですが、最近入手いたしましたIHS統計(旧ロイド統計)によれば、今年の上半期(2011年1〜6月)に、韓国は931万CGT、中国は386万CGTと、韓国が相当な量を受注しております。日本の上期の受注は176万CGTと、満足できる数字ではありませんが、着実に船台を埋めていくことが肝要だと思います。日本造船業は、海運のニーズに応えた高品質な船舶を、適正な価格で受注する姿勢を貫いており、今後もその方針は変わることはありません。

  4. 今年7月に国際海事機関において国際海運におけるCO2排出規制が採択され、2013年の1月に発効することが決まりました。既に日本の各造船会社では、現行水準より一歩先んじた環境性能の高い船舶の開発を進めており、その技術力で競争相手との差別化を図っていきたいと思います。

 U.「円高問題」について
  1. 日本造船業にとって主要な競争相手国である韓国のウォン、中国の人民元に対し、円のみ高い状態が続くと、日本の価格競争力が相対的に弱まることとなります。新造船需要は、長期的には堅調な増加が見込まれるものの、現在、大量の新造船が建造され続けており、短期的には船腹需給ギャップが拡大しています。

  2. こうした中、極端な円高が現在の収益を大きく圧迫している上、造船各社は殆ど受注活動が出来ない状況にあり、企業の自助努力では対応しきれない危機的な状況に追い込まれております。

  3. 現在の状況が継続すると、産業基盤の維持にも支障をきたすこととなり、政府には早急に円高是正のための実効ある対策を望みます。

 V.「最近の鋼材価格動向」について
  1. 船価が低迷している一方で、鋼材価格が高騰しており、造船経営に大きなインパクトを与えております。歴史的な円高とこの鋼材価格高騰の二重苦によって、収益は大きく圧迫されております。

  2. 最近の国内価格と韓国への輸出価格との間に、大きな乖離が継続して生じています。造船業界における鋼材のコストは4割にものぼるため、鋼材価格の動向は、わが国造船業の国際競争力を大きく左右します。

  3. 特に、競争相手国(韓国・中国)との間における鋼材価格の格差が、わが国造船業の国際競争力低下の要因となっているため、是非とも内外価格差を是正して頂きたい。このままでは、海外からの鋼材購入に踏み切らざるを得ません。

  4. 日本造船工業会は、今年2月、新日本製鐵と住友金属工業の経営統合が発表された段階で、国内鋼材市場の寡占が進み、競争が制限されることについて懸念を表明しておりました。

  5. しかし、この統合で、規模のメリットを生かし、鉄鋼鉱山会社との原材料購入交渉を有利に進めることにより、安価な鋼材が安定的に供給されることを期待しております。

 W.「税制改正要望」について
  1. 日本造船工業会は、「法人税等の実効税率の軽減」について重点的に要望しております。

  2. 他方、海運業界においては、
        (1) トン数標準税制の拡充
        (2) 船舶に係る固定資産税の廃止
        (3) 国際船舶に係る登録免許税の改善および恒久化
        (4) 船舶の動力源に供する軽油引取税の課税免除の
          特別措置を要望されていると聞いております。

  3. 昨年度に引き続き、造船工業会は、海運業界の要望を積極的に支援して参ります。

 X.「海賊対策強化」について
  1. 去る8月23日、日本船主協会は衆議院の海賊対処・テロ防止特別委員会におきまして、海賊対策強化についての要望を出されております。

  2. 四方を海で囲まれたわが国は、資源、食料の輸入、工業製品の輸出など、船舶による海上輸送が、国民生活および経済活動の生命線であります。

  3. 海賊対策強化を講じることは日本政府にとって急務であり、多様化・高度化を求められる海賊への対処には、艦艇による直接護衛方式が最も効果的であります。

  4. 現在の護衛艦2隻による警備体制では不十分であり、さらなる拡充を図るため護衛艦・補給艦の追加派遣が必要であると考えます。

  5. 日本造船工業会としても、船主協会が要望されている護衛艦・補給艦の追加派遣につきまして積極的に支持致します。

 Y.「JECKU造船首脳会議」について
  1. 今回で第20回目となる「JECKU造船首脳会議」ですが、今年は10月26日〜28日の3日間、日韓欧米中の5極の造船首脳が一堂に会し、韓国の済州島で開催されます。

  2. 韓国、中国、欧州ならびに米国の各極の首脳と、世界経済の見通しおよび造船市況について意見交換する予定です。その内容につきましては、次回の会見でご報告致します。



以  上



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