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プレスリリース資料


2007年6月19日


日本造船工業会会長に就任して


社団法人 日本造船工業会
会長  田 ア 雅 元 


私は、本日の定時総会において、日本造船工業会の第31代会長に選任されました。西岡前会長は、「日本造船業の一層の基盤強化」を重点テーマに掲げて業界運営にあたられ、多くの功績を残されました。その後を受けて、私が、今後2年間、歴史と伝統のある造船工業会の会長を務めさせていただきます。

現在わが国造船業は、活発な海上荷動きによる堅調な海運市場に支えられて、高水準の受注と建造を続け、3年を超える手持工事量が確保されております。まもなく、需給バランスを反映した適正な船価の船舶が売上げに計上され始めますので、厳しかった採算面にもかなりの改善が見られるようになると思っております。

一方、日本造船業は、継続的な大量受注による大量建造戦略を推進する韓国造船業、また自国における旺盛な需要を背景とし生産力の増強を計る中国造船業など、厳しい国際競争の渦中にありますことは、ご高承の通りであります。
日本造船業は、性能・品質・環境・生産性といった面で常に一歩先を歩む努力を続けていかねばなりません。

日本造船業は、当分の間、高水準の建造が続くこの時期を好機と捉え、足元を固めつつ、国際競争力の強化に積極的に取り組み、造船業の持続的成長を確かなものとする必要があります。

そこで、私としては、この任期の2年間引続き「性能・品質に重点をおいた国際競争力の強化」を日本造船工業会の活動のテーマに掲げ、会員各社の経営の安定に資するつもりであります。
国際競争力を強化するためには、日本造船業の短所を克服し、長所をより強固なものとすることが肝要です。競争力の源泉である経営基盤の強化、技術基盤の強化、国際協調といったテーマを中心に、以下の業界共通の課題について諸施策を展開してまいります。

  1. 経営基盤の課題
    まず経営基盤に関する課題ですが、造船業は海運市況などの環境変化に大きな影響を受けますので、将来にわたる需給バランスを的確に見極め、その中でわが国造船業が持続的な成長を計る戦略を確立する必要があります。
    弱点の一つである労働需給問題については自動化・省力化努力に加えて人材の確保にむけたPRなどの環境整備、また世代交代に伴う円滑な技術・技能の継承について、引き続き地道に取り組んでまいります。
    加えて、日本造船業の強みである、高い競争力を持つ本邦海運業界、鉄鋼業界、舶用機器業界との一層の連携を深め、造船業界の競争力強化に向けての足場固めをしていく所存です。

  2. 技術基盤の課題
    次に、技術基盤に関する課題であります。世界の海運業界からの要請に応え、高性能・高品質の船舶を競争力のある価格で安定的に供給していくことは、造船業の基本的な使命であります。
    今後、内外顧客に求められる船舶では、「効率的なコスト・パフォーマンス」「安全」「環境保全」「省エネ」がキーワードになると思いますが、これらの機能は、それぞれが相互に、しかも密接に関連するものであり、日本造船業は総合的な技術力を駆使してこれらに取り組み、世界をリードしていきたいと考えます。
    例えば、国際的な構造規則や塗装基準などについても、関係諸機関と連携して、引き続き情報の受発信とともにトップ・ランナー型の対応を図ってまいります。
    また、新たに、LCVの観点から防食性能向上のための基盤の確立、超大型コンテナ船の構造安全対策、省エネ、NOx、SOxなどの環境負荷低減対策などの環境整備にも積極的に取り組んでまいります。
    以上のような当工業会の取り組みと、会員各社のイノベイティブな技術開発とが相俟って、内外顧客の多面的な要請に弾力的に応えて行く事が出来ると考えます。

  3. 国際協調の課題
    次に、国際協調に関する課題です。現在世界的に受注量はかなり高い水準で推移しておりますが、一方では、主要国での建造設備の増強が急ピッチで進められております。主要造船国は、中・長期的な視野で合理的判断に基づく適切な需要予測を共有する事が大切であります。誤った需要予測に基づく過度な設備の増強は継続的な供給過剰を招き、結果として造船市場に等しく負の影響を与える事になるという過去の手痛い経験を踏まえ、造船市場の持続的・安定的成長の必要性について、主要造船国が如何に「将来にわたる過大なリスク」に対する認識を共有していけるかが重要な課題です。
    また、昨今の性急な構造規則・基準などの強化は、世界の造船業にとって共通の負担となります。合理性に基づいた規則の制定について、主要造船国の協調した取り組みが必要です。
    そのため、JECKU造船首脳会議の場や、関係する国際会議の場を通じて、日本造船工業会の意見を積極的に発信し、一層の相互理解を深めて参ります。

以上、私の所感の一端を申し述べましたが、今年度は、おりしも「海洋基本法」が制定され、海事産業の一翼を担う造船業界の活動も注目を浴びることになると思います。日本造船工業会は、内外の顧客や関係方面の期待に応え、英知を集め、その実力を最大限に発揮しようとしている日本造船業のナビゲーターとして活動する所存であります。関係各位の一層のご支援・ご指導を賜りますよう、お願い申し上げます。

以  上


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