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プレスリリース資料


2009年6月16日


日本造船工業会会長に就任して


社団法人 日本造船工業会
会長  元 山 登 雄 


私は、本日の通常総会において、日本造船工業会の第32代会長に選任されました。田ア前会長におかれましては、卓越したリーダーシップをもって業界運営にあたられ、多くの功績を残されましたが、その後を受けて、私が、今後2年間、歴史と伝統のある造船工業会の会長を務めさせていただきます。
大きな責任を感じておりますが、就任にあたり、一言所信を述べさせていただきます。

先ず、わが国造船業をとりまく現況でありますが、ご案内のように、昨年秋の米国発の金融危機に端を発した世界同時不況により、世界経済は、この50年で、最も深く、最も広範囲にわたる景気後退の最中におかれております。このため、わが国造船業を含め、世界の造船業界は、昨年第4四半期以降は、実質の新規商談が全く無い状況が続いております。
ただ、幸いにもここ数年来、高水準の受注が続いたことにより、わが国は、当面、3〜4年分の受注残を抱えておりますので、足下の仕事量には不安はありません。これは他の製造業に比べて、恵まれた状況にあるといえます。
また、採算面におきましても、昨年、予期せぬ鋼材の需給逼迫と価格の高騰という、二重苦に翻弄されましたが、世界経済の大減速により、今後は鋼材の需給も価格も適正な水準に戻るものと、強く期待しておりますので、これが実現いたしますと収益改善に向けての、相当大きな要因となろうかと思っています。

次に、今後の展望と課題について話させていただきます。
最初に申し上げなければならないのは、現在、世界が直面している大きな課題は、世界的な過剰供給能力であります。
2003年後半から2008年前半まで、ほぼ5年間、異例と思われるほど、好調な新造船市況が続きました。
この結果、韓国と中国を中心として、数多くの新興造船所が出現する一方、既存の造船所におきましても、活発な設備の増強投資が行われ、現在、世界的に大きな過剰造船能力を抱えることになりました。
私は、この構造的な需給のインバランスこそが大きなテーマであり、今後、様々な問題が顕在化するのではないかと危惧しております。

一つには、世界の造船業で積み上がった大量な既契約船の行方であります。荷動きの低迷により、船腹需要が大きく落ち込んでいる状況の中で、幸い、わが国ではまだ殆ど聞きませんが、アジアの造船国においては、納期の延期やキャンセルの情報が報道されております。
その一方で、アジアの造船国の中には、政府支援による様々な造船能力温存対策が講じられております。
これら市場原理を無視した支援策は、結果的には、過剰船腹、過剰造船能力を助長することにもなり、需給バランスの回復時期を、徒に遅らせることにもなりかねません。

もう一つの懸念は、過剰造船能力下における、新規受注をめぐる市場秩序の混乱の惧れであります。
過当競争、低船価、倒産、社会問題、政府支援、過剰能力温存といった、悪循環を私たちは度々経験してきました。
このように過剰造船能力という構造問題は、対応の仕方によっては、産業の持続的成長に、大きな悪影響を与えます。
私は、海運・造船産業はもとより、金融機関や政府関係者が叡智を絞り、一刻も早く、健全な経営環境が整備されることを期待したいと思います。
私も、微力ではありますが、われわれにできることは全力を尽くして努力したいと思います。

このような場合、私は、アジア造船業の健全な競争と協調が、今後、大事な視点になるのではないかと思っております。
日本・韓国・中国、3カ国だけで、世界の生産シェアは90%近くにもなります。アジア造船国の動向を、常に念頭に置きながら、造船工業会の事業運営に当たることを心がけていきたいと思っております。

以上述べましたように、私は、不安定な造船市場が予想されている中での会長就任となりましたが、企業経営の基本は、歴代の会長が皆様に申し上げてきた、3つの対策、すなわち、「経営基盤の強化」、「技術基盤の強化」、「国際協調の推進」といった諸対策の重要性は、不変であります。
国際競争が一層激化する中で、生産性の向上や省エネ・環境重視の船舶の開発等、競争力強化のための努力がこれまで以上に必要となります。これまで、わが国造船業が長年培ってきた圧倒的な技術力や国内の関連産業を含めた総合力をもってすれば、必ずこの難局を乗り切っていけるものと確信しております。ものづくり立国日本の伝統の中、世界における日本造船業の優位性は失われることはありません。

最後に一言、海洋産業の充実、強化の必要性を申し上げたいと思います。日本は世界第6位の排他的経済水域(EEZ)を持つ海洋国家です。
平成19年7月に「海洋基本法」が施行され、海洋基本計画に沿って、諸施策が推進されております。
海洋産業の一翼を担う造船業は、海洋開発の各分野に技術的貢献ができるものと自負しており、各種プロジェクトに対して、事業の多角化や新規事業の創出といった観点からも積極的に関与し、果敢に挑戦していきたいと考えております。

以上、私の所感の一端を申し述べましたが、日本造船工業会は、内外の顧客や関係方面の期待に応えるため、日本造船業界が一致団結し、叡智を結集して邁進して参る所存であります。
関係各位の一層のご支援・ご指導を賜りますよう、お願い申し上げます

以  上


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